福岡親善大使と行く!歴史・文化スポット巡り

福岡親善大使の皆さんと一緒に、福岡の歴史と文化を感じるまち歩きへ。定番スポットはもちろん、少しディープな情報まで、見逃していた景色をご紹介!次の休日は、ちょっとした非日常を味わいに福岡の歴史スポットにおでかけしませんか?

Exploring Fukuoka with the Goodwill Ambassadors!
2024・2025福岡親善大使(上田穂乃香さん〈写真左〉、高橋彩夏さん〈写真中央〉、國﨑成美さん〈写真右〉)

第7回は上田穂乃香さんと南部エリアをめぐります!

「時をめぐる静寂の旅」

福岡市中心部から少し足を伸ばした、どこか知的で落ち着いた雰囲気のエリア。緑豊かで静かな街のあちこちには、さまざまな歴史や祈り、暮らしの足跡を辿ることのできるスポットが集まっています。いつもよりゆったりとした歩幅で、のどかな時の流れを感じる旅にでかけましょう。

大自然のなか静かに佇む名刹【油山観音正覚寺】

市内中心部からほど近い、油山の中腹にある「油山観音正覚寺」。宗派は臨済宗東福寺派、山号は東油山です。8世紀ごろにインドの僧・清賀上人(せいがしょうにん)がこの地に庵を結び、白椿の木に千手観音像を刻んだことがはじまりと伝えられています。「油山」という地名も、清賀上人が山に群生する椿や胡麻から油を搾り、灯明用の油として諸寺に送ったことが由来になったともいわれています。

中世には僧坊が立ち並び、僧兵を擁するほどに栄えましたが、戦国時代の兵火によって焼失。その後、元禄7(1694)年に再建され、寺号を「正覚寺」と改めて現在にいたります。

本尊の聖観音坐像(国重要文化財)

本尊として知られる聖観音坐像は平安時代の作とされており、国の重要文化財に指定されています。普段は公開されていませんが、今回は特別に見せていただきました。観音像の優しい微笑みに、その慈悲深さが表れていますね。

その他境内には、明治23(1890)年に建立されたとされる、古朝鮮の技法を用いた新羅式石門や、享和元(1801)年に寄進されたとされる十六羅漢の石仏など、見どころがたくさん。秋になると境内の楓や銀杏が美しく紅葉し、歩くだけでも気持ちの良いスポットです。

現在、油山観音正覚寺では精進料理付きの座禅体験を実施しています。初心者にもわかりやすい解説付きなので、ぜひ体験してみてください。

油山観音正覚寺

■住所:
福岡市城南区東油山508
■電話番号:
092-861-4006
■アクセス:
駐車場有
■HP:
aburayama-kannon.jp

四季の移ろいに触れる【友泉亭公園】(市指定名勝)

住宅街の中にそっと佇む「友泉亭公園」。そのはじまりは江戸時代。福岡藩六代藩主黒田継高により、江戸時代の中期に別荘として設けられた「友泉亭」にさかのぼります。当時の敷地は、北は現在の中央区鳥飼から城南区東油山まで及ぶ広大なものでした。明治期には所有者が転々とし、度々建物や庭園は改変されます。現在の主屋は昭和期に貝島家の別荘として使用されていた頃のもので、江戸時代の建物はわずかに礎石を残すのみとなっています。福岡市に所有が移ったのち、市内初の「池泉廻遊式日本庭園」として整備し、昭和56(1981)年に開園したのが「友泉亭公園」です。

最大の見どころは、池に面して造られた大広間と、そこから見える景色!景色を存分に味わうため、できる限り柱を省いています。主屋の屋根には、下端がまっすぐに揃えられた重厚感のある「一文字瓦」が葺かれており、少ない柱で非常に重い瓦を支えるために設計者は苦心したそう。

大広間では、お抹茶とお菓子をいただくのもおすすめです。ゆったりとした季節の移ろいを眺めながらお抹茶をいただいて一休み。…深呼吸したくなるようなやさしい時間が流れます。

現在の約3,000坪の公園内には、中央に広がる池を取り囲むように草木が並び、四季折々の趣を感じることのできる純日本庭園となっています。大名庭園と近代建築が見事に調和する好例として、平成10(1998)年3月には福岡市の名勝に指定されました。小鳥のさえずりを聴きながら園内を歩くだけで、不思議と気持ちが落ち着きます。

友泉亭公園

■住所:
福岡市城南区友泉亭1-46
■休園日:
月曜日(当該日が休日の場合はその翌日)
■入園料:
大人 200円 小人 100円
■アクセス:
西鉄バス「友泉亭」より徒歩5分、「友泉中学校」より徒歩10分
駐車場有(有料)
■電話番号:
092-711-0415
■HP:
https://yusentei.fukuoka-teien.com/

激動の時代を生きた歌人の庵跡【平尾山荘】(市指定史跡)

「平尾山荘」は福岡の幕末期を語るうえで欠かせない場所。福岡藩出身の歌人・野村望東尼(のむらぼうとうに)が隠棲していた草庵跡です。

山荘周辺は公園として整備され、野村望東尼の像も建てられています

望東尼は、文化3(1806)年9月6日、福岡藩士 浦野重右衛門勝幸の三女として、福岡城の近く、現在の中央区六本松三丁目付近に生まれました。のちに福岡藩士 野村貞貫と結婚。夫婦で大隈言道(おおくまことみち)に和歌を学び、この地に庵を結びました。
54歳の時、夫と死別し出家。この頃から勤王の志を抱き、ここ平尾山荘にて勤王の志士たちと親しく交わりました。時にはかの有名な高杉晋作を匿ったことも。
慶応元(1865)年、乙丑の獄(いっちゅうのごく)の際に藩命により捕えられ姫島(糸島市)に流されますが、11カ月の幽閉を経て高杉晋作の命により救い出され、下関に逃れます。下関で病に倒れた高杉晋作の看病中、高杉の「おもしろき こともなき世に おもしろく(面白くないこの世の中で、面白く生きていくためにはどうしたらよいだろうか)」という上の句に、「すみなすものは 心なりけり(環境がどうあるかではなく、あなたがどう思うかが肝心だ)」という下の句を贈った逸話は有名です。慶応3(1867)年に高杉を看取ったのち、同年11月に望東尼も三田尻にて死去しました。

山荘は明治42(1909)年に復元され、その後何度も改修されつつ、今も現地に遺されています。隣接する資料展示室では、彼女の生きた時代とその生涯について解説しており、激動の時代を生きた彼女の足跡を今に伝えています。

平尾山荘

■住所:
福岡県福岡市中央区平尾5丁目2-28
開館時間:
山荘及び管理棟は9:00-17:00(最終入場16:30)
アクセス:
西鉄バス 「山荘通」より徒歩6分
駐車場有

炭鉱王による近代和風建築の粋【旧⾼宮⾙島家住宅】(市登録有形文化財)

麻生・安川とともに「筑豊御三家」と称され、炭鉱王と呼ばれた貝島太助。その弟である貝島嘉蔵の邸宅として建てられたのが、「旧高宮貝島家住宅」です。

壁が少ない伝統的な軸組工による建物は、美しい杉材を随所に使用し、部屋ごとに異なる意匠も見どころ。本座敷の欄間には金の鳳凰が彫られるなど、細やかな造形や調度品が楽しめます。

外観に目を向けると、年を重ねて増築していく中で住戸を斜めにずらして配置した「雁行型」の設計と、折り重なる屋根がやわらかな陰影と奥行きを生み出し、表情豊かな佇まいをつくっています。一見渋みのある建物ですが、見れば見るほど、細部に至るまで手間をかけた実に豪華な邸宅であることが分かります。

旧高宮貝島家住宅はもともと大正4(1915)年に直方市に建築され、昭和2(1927)年にここ高宮に移築。増築や改修を重ね、現在の姿となりました。市内において有数の近代和風建築であり、筑豊の石炭産業全盛時の歴史を伝える貴重な建造物として、市の有形文化財に登録されています。
現在は茶室などの貸し部屋や結婚式場、レストランなどを備えたおもてなしの場として活用されています。

旧高宮貝島家住宅

■住所:
福岡市南区高宮5丁目16-1
■アクセス:
西鉄バス「野間四つ角」より徒歩5分
西鉄天神大牟田線「高宮」駅・中央出口より徒歩5分
■電話番号:
092-525-3131
■HP:
https://park.takamiyagarden.com/

まちをつなぐ、人々の拠り所【髙宮⼋幡宮】

髙宮八幡宮は、かつて「那珂郡十七ヶ村」の惣(そう)産土とされた神社です。北は福岡市馬出、南は那珂川市安徳に至る非常に広い地域の人々が、ともに仰いだ“まちの親神さま”でした。

「惣産土」とは、地域全体をひとつに結ぶ守り神のこと。室町時代、荘園制度が崩れていくなかで、村々をつなぐ心のよりどころとして大切にされてきた考え方です。那珂郡十七ヶ村は、同じ産土神のもとにあるひとつの共同体のような意識が根付いていました。

髙宮八幡宮を中心とした人々のつながりは、現在も続いています。毎年6月最終日曜日に開催される、髙宮八幡宮獅子まつり(市登録無形民俗文化財)では、獅子頭を乗せた神輿が神社を出発し、周辺の民家や店舗を巡ります。訪れた先では神輿を高く掲げ、その下を人々にくぐってもらうことで無病息災を願います。地域のつながりを大切に思う気持ちが、今も受け継がれているんですね。

髙宮八幡宮

■住所:
福岡市南区高宮4丁目9-34
■アクセス:
西鉄天神大牟田線 高宮駅より徒歩10分
西鉄バス 「多賀1丁目」より徒歩2分
■電話番号:
092-522-8435
■HP:
https://takamiyahachimangu.com/access/

今回ご紹介した場所はいずれも景色のよい観光地としても知られていますが、その歴史を知るとより魅力的に見えてくるはず。景色に癒されながら、時間をかけてじっくり観察してみてください。

今回巡ったスポット一覧

  • ・油山観音正覚寺
  • ・友泉亭公園
  • ・平尾山荘
  • ・旧⾼宮⾙島家住宅
  • ・髙宮⼋幡宮